身体改造ジャーナリスト
前田亮一プレゼンツ
3アーティスト
同時写真展
開催記念
“ケロッピー”
前田亮一
&
服部俊幸
インタビュー02
今こそ、
語られない写真へ。
by Mitutika Fuku
Photo
by Ryoichi "Keroppy" Maeda
2009年9月5日収録
Profile
ケロッピー前田(まえだりょういち)
1965年生まれ。フリーランスのライター/フォトグラファー。“身体改造ジャーナリスト”とも呼ばれる。千葉大学工学部卒。白夜書房(コアマガジン)勤務を経て独立。1990年代より『BURST』誌(コアマガジン)にてタトゥー、ピアッシング、身体改造、フェティッシュの最前線を国内外で取材。現在は『TATTOO BURST』『BUBKA』(ともにコアマガジン)などで活躍中。著書に『SCAR FACTORY』(英クリエイションブック)、訳書に『モドゥコンブック日本語版』(フューチャーワークス)など。
きたる9月18日(金)から1週間ほど、東京・大久保のアンダーグラウンド&ストリート・カルチャー発信源「ゲトー」内の「百ギャラリー」にて、3人の写真家たちによる写真展が同時開催される。そのプロデューサーを務めるのは本ページでもおなじみのケロッピーこと前田亮一氏。アメリカから帰国後間もない前田氏と打ち合わせ上京中の服部氏を捕まえ、その企画展について話を聞いてきた。インタビュー第2回目の今回は、前田氏が初のアメリカ進出となったニューヨークでの写真展『Extreme Body Modification in Japan』での模様。その成果と感触を自ら語ってもらった。
先月行なわれた前田氏のニューヨーク写真展会場、「Body Archive Gallery」。
前田亮一インタビュー/ジャパニーズ身体改造 in NY
――まずは、お帰りなさい(笑)。
前田 あ、どうも(笑)。これ、さっきのインタビューと順番が逆じゃない?
――そうですね(笑)。失礼しました。では、先月行なわれたニューヨークでの写真展について聞かせてください。
前 「Body Archive Gallery」で8月8日から16日まで『Extreme Body Modification in Japan』というテーマでやってきました。内容的には、2年前に東京でやった写真展や去年大阪でやったものと同じテーマで作品をチョイスして持っていきました。それに対して、9月にやる東京での写真展は、『デパートメントH』でやってきたサスペンションを中心としたシリーズと、皮膚をホルマリン漬けにしたシリーズの2つを発表します。
――東京では、初めての試みの部分が多いわけですね。
前 元々は雑誌のために取材で撮ってきたものをもう一度ギャラリーで見せるために作品として仕上げてきたけど、今回は最初から写真作品として見せることを意識して撮影しているから、そういう意味では初の試みだね。
――ところで、ニューヨークでやることになったきっかけはなんだったんですか?
前 2年前にイギリスのクリエイションブックス社から出版された僕の写真集『Scar Factory』がきっかけで、ギャラリーのオーナーのスティーブンが写真展をオファーして来たんだよ。でもその後ニューヨークに行く機会がなくて、そのままになっていたけど、去年トレパネーションの取材でアメリカに行ったからその時にもう一度ポートフォリオを見てもらって、今年の8月にやることになったわけ。
ケロッピーと改造軍団。
ギャラリーのオーナー、スティーブン氏。
――たくさんの来場者があったみたいですね。
前 スティーブンが呼んでくれたんだけど、向こうの写真関係者、作家たちやあとは日本を始めとしたアジア圏のクリエイターなんかが来てくれたね。現代アート系の人たちも見に来て、その流れでブロードウェイギャラリーのグループ展にも参加することに。1点だけ、向こうに作品を残してきたよ。
――どのような反応がありましたか?
前 オープニングの前日にはレクチャーをやったんだけど、古くからあるSM系のクラブ「パドル」のパーティでね。ちょっとおもしろかったのは、「SM」といえば「縛り」、「縛り」といえば「日本」、さらに「痛い」といえば「ボディ・モディフィケーション」という感じで。つまり、「日本=SM=痛い=改造」みたいな(笑)。
――その辺は日本での発展と同じベクトルですね。
盟友=身体改造アーティストのルーカス氏も来場!!
前 特徴的だったのは、ニューヨークのアンダーグラウンド・シーンの全盛期は日本より10年早かったから、「パドル」に集まったお客さんも、ちょっと年とっている感じで、僕らより一世代上だったんじゃないかな? かつてフェティッシュ・シーンの最前線を担った伝説の「ヘルファイア・クラブ」に来ていた客層が、今もシーンを守っている感じかな。僕が写真展をやった「Body Archive Gallery」は、ミートマーケットという肉市場だった場所にあるんだけど、そこに「ヘルファイア・クラブ」もあったんだ。当時、そこは朝だけしか市場が動いてないから、昼はハッテン場みたいなものだったし、夜は怪しいクラブイベントに貸し出していた場所なんだよね。
――そんな由緒正しい場所で個展ができたんですね。
前 そうそう。だからそこでやらせてもらえたのはもの凄い光栄だったよね。ただ、今その場所は再開発で地価が高騰していて、ちょっとセレブっぽい場所になってるんだよ。東京でいえば六本木ヒルズの向かいで写真展やったようなもの?(笑)
――では元祖モダン・プリミティブ世代の彼らにとって、日本でのボディ・モディフィケーションの発展は驚きだったんですか?
前 たぶん、アメリカ、特にニューヨークの人々はタトゥーなんかもかなり一般化されているし、日本とはちょっと違う方向に進み始めている感じがしたな。それがなんなのかはまた別の話なんだけどね。その目から日本を見て、日本とモディフィケーションの関係を見ているよね。だから、どっちかというと「日本」という部分に凄く比重がかかっているんだよ。彼らにとって、ボディ・モディフィケーションは自分たちから始まったわけだし、すでに知っているものでもあるし。もしこの写真展を日本でやったら身体改造に比重がかかるんだろうけど、向こうでは、明らかに、日本に対する興味の延長線上で作品を楽しんでくれている感じだったね。
――ニューヨークの個展で、特に印象的だったことはありますか?
前 「ヘルファイア・クラブ」の頃からニューヨークのアングラ・シーンをとり続けてきた写真家のエフレイン・ゴンザレスさんが来てくれたのが嬉しかったね。家にも招待してもらって、写真のコレクションも見せてもらって。僕にとっては大先輩にあたる人だからね。作品についてどうこうっていうよりは、それを通して交流したって感じで。凄く励ましてもらったよね。
NYアングラ・シーンを記録し続けてきた写真家エフレイン・ゴンザレス氏。
(続く)
ケロッピー前田プレゼンツ/3アーティスト同時写真展
服部俊幸写真展『八百万』
ケロッピー前田写真展『サスペンション考・ホルマリン景』
ジェローム・アブラモビッチ写真展
『CHAPTER9 PHOTOGRAPHY RETROSPECTIVE ONE EXHIBITION』
会期=2009年9月18日(金)〜24日(木)
時間=12時〜20時
会場=東京・大久保・「百ギャラリー」@ゲトー




