maeda01 of Modern Freaks Web Ver.0.9

日本発ハードコア
ドキュメンタリー
『Body Modification Freaks』完成秘話。
“ケロッピー”
前田亮一
との対談01

身体改造
先進国の証明。

Text & Photo by Hiroshi Suzuki
2009年1月某日収録






Profile
ケロッピー前田(まえだりょういち)
1965年生まれ。フリーランスのライター/フォトグラファー。“身体改造ジャーナリスト”とも呼ばれる。千葉大学工学部卒。白夜書房(コアマガジン)勤務を経て独立。1990年代より『BURST』誌(コアマガジン)にてタトゥー、ピアッシング、身体改造、フェティッシュの最前線を国内外で取材。現在は『TATOO BURST』『BUBKA』(ともにコアマガジン)などで活躍中。著書に『SCAR FACTORY』(英クリエイションブック)、訳書に『モドゥコンブック日本語版』(フューチャーワークス)など。

日本が世界の身体芸術に驚き、また憧れていた1990年代から、最先端のシーンをその目で目撃し続けてきたケロッピー前田こと前田亮一氏。今回の対談は前田氏と私、福光睦が関わって昨年11月に発売されたDVD『ボディ・モディフィケーション・フリークス』の完成を機に行なわれたものである。日本における身体改造という新しい文化を理解する意味でも興味深い話題であることに加え、同時に、本サイトのできた経緯を説明するのにもちょうどいいということで、ここから数回にわたって掲載してゆく。



10118250954.jpg『デパートメントH2099』にて収録。向かって右が前田氏。

インターネットの、時代に。


——まずはなぜDVD『Body Modification Freaks(ボディ・モディフィケーション・フリークス)』を出すことになったかというお話から始めましょうか。まずは去年の11月に『Modern Freaks(モダン・フリークス)』という雑誌を作りまして、その雑誌は、身体改造を特集したものなんですけれど、発売直後から、様々な身体改造系の海外アーティストが来日しましたよね。

「メディア的にはワイレア出版から『モダン・フリークス』が出て、その前に僕の写真集『SCAR FACTORY(スカー・ファクトリー)』がイギリスのクリエイションブックスから発売されていて、その流れで今年になってから『日本の身体改造シーンってこんなに凄いのか!?』と、次々に海外アーティストが来日してきたんだよね」

——数年前までは、1年に1回、海外の身体改造アーティストが来るかどうかって感じでしたよね? ルーカス・スピラが2002年に来日した辺りがスタートだと思うんですが。

「2004年にブレア(*1)が来日したのは憶えてる?」

——はい。最初にブレアが来日した時は『DEPARTMENT-H 2099(デパートメントH2099)』の前身イベント『CRAZY-88』に僕が取材で伺って、そこで前田さんとお会いしたんですよね。当時僕は、身体改造文化のことに詳しくなかったんですが、そういう文化に詳しい先輩編集者である前田さんのお話を聞いていたら「あぁ、この文化はこれからの話なのかな」って思いました。僕が以前所属していた『S&Mスナイパー』(ワイレア出版刊)でも前田さんに身体改造の取材をしましたし、そもそもはそこが発端ですかね?

「確かに、その辺りから繋がったよね。『モダン・フリークス』の前身誌『アンダーグラウンド・サイコティクス』(ワイレア出版)の話もした方がよくない? 『S&Mスナイパー』から『アンダーグラウンド・サイコティクス』を経て『モダン・フリークス』へという、ある種の、動物の変態というか、種の枝分かれというか(笑)』

——「危なすぎる内容でアダルト雑誌を作ってみよう」という話を『アンダーグラウンド・サイコティクス』の制作時に前田さんに相談したんですが、あの時も、なかなか書けないような障害があったりしましたね(笑)。

「あったね(笑)」

——結局、その後、アダルトのベースではない媒体で、一般書店に出せるものとして、『モダン・フリークス』を作り、そこで身体改造を特集しました。僕らがやろうとしているくらいだから、世の中の流れとして盛り上がっていた時期だったのかもしれないですけれど、とにかくやってみたら、想像以上に、まさに新時代の幕が上がるというタイミングでしたね。

「身体改造については、『BURST』(コアマガジン)で最初に種を蒔いていて、その読者たちが実践者になってインターネット上で、その実践例を公表していた。そしてそれを見た人たちが実践してみたくなっていたという状況があった。そのタイミングで『モダン・フリークス』が出たり、実際に海外の身体改造アーティストたちが来日して『やっぱり、本当だったんだ』となって今の盛り上がりに繋がったんじゃないかな」

——そもそも身体改造文化は、昔は見るものだったというか、海外にこんな文化があるっていうビックリ話に近かったですよね。例えるなら、タイの『ベジタリアン・フェスティバル』と同じベクトルだったと思うんですよ。1990年代の鬼畜本ブームの時などは、ビックリ人間の一種として、身体改造の実践者も紹介されていましたよね。奇形児だったり、ベジタリアン・フェスティバルのような部族的なものだったりと一緒に、“モダン・プリミティブ”(*2)といった身体改造の流れも当時は同じベクトルという認識がありましたね。

「『BURST』なんかの雑誌でも、いろんなものをゴチャ混ぜにしてて、そこから段々、身体改造は趣味の一ジャンルとして特化されてきた」

——『BURST』の初期に、今まで体系化していなかったそれらの文化をカルチャーの区分けとして前田さんが体系化されたのかなと思います。

「特に身体改造に関しては、1994年くらいに始まってるんだけど、海外でも盛り上がってくるのは1996年~1997年だった。その時、僕は海外への取材に行き始めていた頃だった。だから凄くラッキーなのは、全部をリアルタイムで見てる。「2週間前に世界で初めてスプリット・タンが登場した」っていう話も凄く間近で聞いていたし。それ以前は、時間的にも空間的にも遠かったけれど、身体改造が出てきた辺りからはインターネットの時代になってたからね」

(続く)

*1——“焼き印のブレア”の異名を持つカナダの身体改造アーティスト。ブランディング(体への焼印による傷痕で描くスカリフィケーション)の達人。
*2ーー現代のピアッシング・カルチャーの生みの親、ファキール・ムサファーが提唱。タトゥー・ピアス・身体改造の現代的復興を、人間が太古よりもつ本来的な願望に基づくものとして説明した。アメリカ西海岸を発祥とする1990年代の世界的流行を大きく後押しするキーワードとなった。

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BMFパッケージ.jpg

ケロッピー前田監修/Modern Freaks制作DVD
『Body Modification Freaks(ボディ・モディフィケーション・フリークス)』
〜知られざる身体改造先進国日本

定価=4,743+税
収録120分(本編60分+特典映像60分)
2008年11月発売
ワイレア出版
予告編/Sample Movie
当サイトでも販売中。国内送料無料。