top of Keroppy Maeda & Mitutika Fuku

日本発ハードコア
ドキュメンタリー
『Body Modification Freaks』完成秘話。
“ケロッピー”
前田亮一
との対談03

身体改造
先進国の証明。

Photo by Ryoichi "Keroppy" Maeda
Text by Hiroshi Suzuki
2009年1月某日収録






Profile
ケロッピー前田(まえだりょういち)
1965年生まれ。フリーランスのライター/フォトグラファー。“身体改造ジャーナリスト”とも呼ばれる。千葉大学工学部卒。白夜書房(コアマガジン)勤務を経て独立。1990年代より『BURST』誌(コアマガジン)にてタトゥー、ピアッシング、身体改造、フェティッシュの最前線を国内外で取材。現在は『TATOO BURST』『BUBUKA』(ともにコアマガジン)などで活躍中。著書に『SCAR FACTORY』(英クリエイションブック)、訳書に『モドゥコンブック日本語版』(フューチャーワークス)など。

日本唯一の身体改造ジャーナリストとして、身体改造というハードコア・カルチャーの起源から追い続けてきたケロッピー前田こと前田亮一氏と福光睦の対談もこれで最終回。ともすれば衝撃的に過ぎるビジュアルにとらわれがちなボディ・モディフィケーションの内側に込められた可能性、そしてその先にあるものを語ってゆきます。

cutting.jpgルーカス・スピラによるカッティング。この後、入念なケアによって傷を美しく残す。

世代交代。悩みの違い。


——今って、ロッカーたちのタトゥーという括りで一冊の本ができたりする時代じゃないですか? ああいうマジョリティに属する人たちがエンターテインメントとして、身体改造をやる日がいつかくるのだろうか、みたいな話をこの間していたんですよ。

「それはそう遠くない話じゃないかな。すでにサンパがマイクロソフトの広告に出たりしているからね。タトゥーもピアスも含めたトータルで、近いうちに身体改造の実践者が一気に表舞台に出てくると思うよ」

——今はボディピアスぐらいなら、アイドルでもしてそうな感じですよね。今、『Body Modification Freaks(ボディ・モディフィケーション・フリークス)』を観て、拒絶感や嫌悪感を抱く人はいるかもしれませんが、そこで行なわれてる改造が、現在のピアスやタトゥーと同じ状況になる可能性は否定できないですよね。

「本来、同じ地平にのっかってるものだからね。そういう意味では、今、(ボディ・)サスペンションが、入りやすい入り口としてあるんじゃないかな。ルーカス(・スピラ *1)が得意なカッティング(写真上)も見た目にわかりやすいよね。あと、日本にもサスペンション・チームができて、国内でも盛り上がっているという側面もあるし」

——完成したDVDを知り合いに見せた時に、予想外の反応が返ってきたんです。このジャンルを取材慣れしている僕らからしたら、イヤー・ポインティングとか、トランスダーマル・インプラント(写真下)を「やべぇな」と思うじゃないですか? でもそこじゃなかったというか、見慣れてない人は、サスペンションに一番ビックリしていましたね。反応が新鮮でした。サスペンションは、初遭遇の人にとっては、いまだに衝撃的なものなんだなと再確認しました。

「サスペンションは、実際にやる人にとっても、リスクやそれに伴う難しさがもちろんあるんだよ。サスペンションについては、DVD収録のコメンタリーでも“ペイン・コントロール”という言葉を使ったんだけど、“痛くないモード”に気持ちが入ることによって、吊り上がるものだから。

——『Modern Freaks(モダン・フリークス)』でも、雑誌全体のコピーで書いたんですけど、“自分の意志”っていうのが、ボディ・モディフィケーションというジャンルの中では、全面に出ている気がします。見るからに痛そうだし、普通に考えたらあんまりやりたくないっていうことを敢えてやる気持ちは、目に見えてわかるじゃないですか。そういう点が取材をしているこちらとしてもおもしろいなと思いますね。

——身体改造文化っていうのはインターネットとか携帯の世代にも訴えかける力を持っているし、そういうものとして残っていってると思うんだよね。世代が代わったっていうのは、雑誌メディアからこれに入ってきた人たちの世代があったけど、インターネットや携帯、雑誌も含めて、その世代がもう一回戻ってきて、このサスペンション・ブームってのがあるんじゃない?っていうのが今の僕の意見かな。



trans.jpgサンパ・フォン・サイボーグによるトランスダーマル・インプラントの施術。

ジャンルを超越したその先へ。


——これから先、身体改造文化もシーン自体が太くなって、メジャー化していくというのが、ここ数年、取材された中での前田さんの予測ですよね?

「ピアスやタトゥーを取材してきて、それが一般化してきたなと思った時にボディ・モディフィケーションなんかの、もっとハードなものが出てきたように、今、身体改造が一般的に認知されてきている状況の中で、もしかしたら僕らの知らないところで、さらなる次のとんでもないものが、まさに生まれ出んとしているかもしれない。もうまさにこういう時こそ、「油断ならん」っていう感じだよね(笑)。今回作ったDVDの中にも、あるシーンでチラっとだけ見えたものから、ぐーっと引っ張って追求していくと、とんでもないものがまた出てくるかもしれない。新しい種が隠れているかもしれないっていう、そんなマニアックな見方をしてもらってもおもしろいよね」

——今回、具体的に、僕が知らない内容のエピソードとして出たものといえば、サンパがバイブレーターを埋め込むっていう話ですね。実用的な改造というのは、かなり未知の領域ですが、今後ありえますよね?

「それはコメンタリーでも『X51.ORG』の佐藤くんと話してたみたいに、日本の電機メーカーが埋め込み式の携帯とか作ってくれれば、身体改造カルチャーの側ではすでに埋め込む技術はできてます、という状況だよね。そういうジャンルを超えた戦いだったりする」

——ハッカーやその辺りの話はコメンタリーを見ていただいた方がいいですね。この続きは是非ともDVDで楽しんでいただきたいと思います。

(終わり)

*1……“医療用メスの魔術師”“ボディ・ハックティビスト”なる異名を持つフランス出身の身体改造アーティスト。独特の美しさを持つカッティングは世界を代表する第一人者であり、日本にもそのファンは多い。パートナーのヴィヴィアンとともに親日家として知られる。写真家としても作品を発表し続け、近著に『TOKYO LOVE DOLL』(エディシオン・トレヴィル)がある。

BMFパッケージ.jpg

ケロッピー前田監修/Modern Freaks制作DVD
『Body Modification Freaks(ボディ・モディフィケーション・フリークス)』
〜知られざる身体改造先進国日本

定価=4,743+税
収録120分(本編60分+特典映像60分)
2008年11月発売
ワイレア出版
予告編/Sample Movie
当サイトでも販売中。国内送料無料。