matsuzawa01 of Modern Freaks Web Ver.0.9

『エロスの原風景』
刊行記念
松沢呉一
インタビュー01

集大成の
エロ本クロニクル。

Interview & Photo
by fukumitutika(Modern Freaks)
2009年6月某日収録






Profile
松沢呉一(まつざわくれいち)
1958年生まれ。ライター。現在は、『実話ナックルズ』(ミリオン出版)、『スナイパーEVE』(ワイレア出版)、『お尻倶楽部』(三和出版)等の媒体に連載中。その他著書として、『風俗お作法』(しょういん)など。自ら有料メルマガ『マッツ・ザ・ワールド』を配信。ちなみに、『エロスの原風景』は『実話ナ
ックルズ』の連載を大幅に修正・加筆して構成したもの。

風俗産業、アンダーグラウンドカルチャーから性科学、さらには著作権まで、その無闇とまで思われるほどに広い博識で名を馳せるライターの松沢呉一氏。彼はまた、日本最大級のエロ本コレクションを所有していることでも知られている。そしてこの2009年7月、彼が莫大な時間と労力、そして私財を注ぎ込んだコレクションが遂に単行本『エロスの原風景』として結実した。その完成を機に、氏の今後についての話を伺いに伺った。



souke.jpg大久保の奇跡、辛くないヤツ。

その前に、カムジャタンの話。


――では、新刊『エロスの原風景』の話を中心に聞いていこうと思います。

「オレは新刊の話を中心にカムジャタンの魅力について熱く語ろうかと思っている」

――ということで、インタビューの場所は東京大久保の「宋家ガムジャタン」にさせてもらいました。

「気が利くね。カムジャーの心の故郷だ。カムジャタンにはいくつかの流派があって、この近くだと、濃い味が売りのゴールデン街の『モンシリ』、辛みを抑えてスープの旨味を出している新宿三丁目の『チェゴヤ』もオレは好きなんだけど、あっさり系では、カムジャタン専門店である宋家ガムジャタンが頂点。その日の気分でそれらの店を的確に選択するのがカムジャーの醍醐味だ」

――ちなみに僕はここがダントツで好きです。他もおいしいですけど、来られるんだったら、いつもここに来たい。

「でも、ここはスープを翌日に持ち越さないため、売り切れの日があるからね。脂も臭みも極限まで抜き取っているので、カムジャタンではおなじみの春菊、エゴマ、ニラで臭いを消す必要がないのがここの特徴。背骨とネギとジャガイモだけの店は非常に珍しい。自信があるんだろうけど、それでも臭みはまったくなくて、毎日食っても飽きない」

――さすがグルメライターですね。

「うん、女体とカムジャタンにはちょっとうるさい」

――今日は辛くないカムジャタンにしませんか。

「うむ、遂にそこに踏み込むか。緊張するな。今まで賄いで出していたものを先月から客にも出すようになった幻のカムジャタン。前回この店に来た時はカムジャタン初体験の人間を連れて来たので、オーソドックスなカムジャタンを頼んでしまって、辛くないのは食えなかったよ」

――僕も気になっていたんですけど、カムジャタンは辛いものということになっているので、どうしても普通のカムジャタンを頼んでしまって、まだ食べたことがないです。失敗してもいいように、小サイズ(1~2人前)でいきますか。

「だな。失敗だったら、辛いカムジャタンで口直ししよう」

――(店員に)じゃあ、辛くないカムジャタンの小をお願いします。

「まだまだカムジャタンの魅力、この店の魅力について語りたいところだが、カムジャタンが運ばれてきたらまた語るとして、そもそも今回のインタビューが実現することになった事情を説明しておくとしようか」

――Skype(スカイプ)でチャットしている時に、松沢さんが、「自分で自分のインタビューをしようと思っている」というので、「だったら、僕がやりましょうか」って申し出て。

「そうだったな。ガーナ人の女子高生とチャットしたあと、福くんとチャットしている時にそんな話になった」

――ガーナ人の女子高生(笑)。

「なぜかよくガーナ人からコンタクトがある。デートしたいけど、ちょっと遠い。宇都宮より遠い」

――当たりまえじゃないですか。なんで宇都宮が遠さの基準なんですか。

「宇都宮とか水戸とかって、同じ関東でもすごい遠い印象がある。新幹線で大阪に行ったり、飛行機で札幌や福岡に行く方が近い」

――なんとなくわかりますけど、ガーナと比べないでくださいよ。ガーナに行く前に携帯を買った方がいいですよ。

「携帯を紛失してはや2カ月。なくてもそんなに困らないけど、周りが困っている(笑)」

――仕事の依頼があったらどうするんですか。

「仕事を頼む人たちはアドレスを知っているよ。新規の仕事なんてないし」

――第一、待ち合わせに困るじゃないですか。ガーナ人の女子高生に会えないですよ。

「ガーナに行く時は買うべ。『今ガーナ駅の東口に着いたんだけど、君はどこにいるんだよ』『私ももう着いているよ』『特徴は?』『肌が黒い』『みんな黒いじゃねえか』ってか」

――くだらない(笑)。

「なんとかガーナに着いても、ガーナの地理に疎いので、道に迷いそうだ。ガーナは英語が公用語なので、チャットはできるんだけど、ガーナ英語は発音が特殊な発展をしていて、会話は通じないらしい。携帯で道を聞いてもわからず、そうこうするうち宇都宮に着いてギョーザを食べて帰ってきたりして」

――着きませんて。

「土産にロイズの生チョコを買っていくかな」

――ガーナはカカオの本場なのに。

「じゃあ、花畑牧場の生キャラメル」

――ガーナに着く頃には溶けてますよ。

「じゃあ、京都の生八つ橋」

――なんで生つながりなんですか。

「なんとなくの流れ」

――そんな話より、新刊の話をしないと宣伝にならないですよ。

「しまった、こんなことなら生八つ橋の本を出せばよかった」

(続く)

松沢注:ガーナ人の女子高生は、お気楽女子高生ではなく、貧乏で現在学校は休学中。バイト先のネットカフェでスカイプをやっていると言っている。

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松沢呉一『エロスの原風景』
江戸時代〜昭和50年代後半のエロ出版史 

定価=2,800+税
ISBN978-4-7808-0126-2 C0095
A5判 / 168ページ / 上製・函入り
2009年07月刊行
ポット出版